2012年1月26日
ビブリア古書堂の事件手帖2(三上延)

ビブリア古書堂の店主である栞子が、退院して戻ってきた。まだ慣れていなく悪戦苦闘する大輔を見守りながら、彼女は再び古書堂を営んでいく。そこに持ち込まれる本の中には、さまざまなエピソードを持ったものや、持ち主の想いが詰め込まれたものもあった。大輔と栞子は、本に隠された謎のひとつひとつに迫っていく。「ビブリア古書堂」シリーズ2。
この作品は、プロローグとエピローグとほか3編から成る。プロローグとエピローグは、栞子の母に関する話だ。彼女の「クラクラ日記」という本に対する切ない想いに胸を打たれた。3編の話も、本当に面白い。「時計じかけのオレンジ」という本に関するエピソードには驚いた。また、「福田定一」「足塚不二雄」の話もよかった。本の好きな人にとって、本は単なる物ではない。それは時には、その人の人生そのものになる場合もある。人と本、この関係はドラマチックなものだと思う。
本に隠されたさまざまなエピソードを読み手に伝えてくれるこの作品は、面白いばかりではなくとても貴重だと思う。もっともっとこういうエピソードを知りたいものだ。このシリーズがこれからもずっと続いてくれることを切に願っている。
ゆこりん : 20:28 | コメント (0) | 作者別・・み他
2012年1月25日
ビブリア古書堂の事件手帖(三上延)

北鎌倉駅の近くにひっそりとそのお店はあった。「ビブリア古書堂」という名前のその店から出てきた女性に、五浦大輔は興味を抱く。やがて大輔はその女性、篠川栞子と、祖母が所有していた本がきっかけで知り合うことになるのだが・・・。
幼い頃の体験がきっかけで、それまで大好きだった本が読めなくなってしまった大輔。かなりの読書家で、膨大な本の知識を持つ栞子。ふたりは大輔の祖母が所有していた本がきっかけで知り合うことになる。祖母が持っていた「夏目漱石全集」に隠された謎を、栞子はものの見事に解き明かしてみせる。そこには、大輔にかかわる重大事も・・・。
ほんのわずかな手がかりから、実際に見たわけでもないのに鋭い洞察力や推理力で真実を探り当てる栞子。その過程は読んでいてワクワクするほど面白い。物事を、一方的な見方をせず多角的に捉えることがいかに大事か、そんなこともあらためて考えさせてくれる。プロローグ、エピローグのほかに4編の話が収録されているが、夏目漱石全集にかかわる話と、太宰治の「晩年」にかかわる話が特に印象に残った。本好きにはたまらない作品だ思う。
ゆこりん : 15:30 | コメント (0) | 作者別・・み他
2012年1月23日
Another(綾辻行人)

夜見山中学3年3組。そこには隠された秘密があった。転校してきた榊原恒一は、級友たちが何かに怯えているのに気づく。いるのに、いない。いないのに、いる。いったい何があるというのか?呪いの恐怖が3年3組に迫っていた・・・。
発想が奇抜で面白い。読んでいると、じわりじわりと恐怖の輪が縮まっていく。人の力ではどうすることもできない「負の力」が、3年3組に関わるすべての人たちに迫っていくさまは、背筋が寒くなるような気がした。前半は真相がよく分からずやきもきしながら読んだが、後半のほうはテンポがよかった。ただ、呪いのきっかけとなる出来事については分かったが、そのことがなぜ3年3組に災いを及ぼすようになったのかが理解できなかった。ラストも、多少は驚いたが意外とあっさり終わってしまった感じがする。これで解決?いや、どう考えても解決には至ってないと思うのだが・・・。文庫本で上下合わせて750ページの大作だが、すっきりしない終わり方には少々疑問や不満が残る。結局、3年3組はどうなっちゃうの!?
ゆこりん : 16:05 | コメント (0) | 作者別・・あ他
2012年1月20日
アイスクリン強し(畠中恵)

江戸から明治へ。時代の流れはさまざまなものに変化をもたらす。元士族だった者が警官になるということも珍しくなかった。だが、元士族から洋菓子屋になった者がいた!
洋菓子屋皆川真次郎と、「若様組」と呼ばれる彼の友人の警官たちが巻き込まれた騒動とは・・・?5編を収録。
明治の世も20年を過ぎ、人々がようやく新たな時代に慣れてきた頃の話だ。洋菓子屋を営むミナこと皆川真次郎、友人の「若様組」と呼ばれる警官たち、成金の娘沙羅・・・登場人物もなかなかユニークだ。日常生活の中で起こる事件や騒動を、彼らは解決していく。その過程もまあまあ楽しめるが、この作品の中に登場する料理やお菓子も、読んでいてなかなか興味深かった。ただ、タイトルと話の内容が合わないのが気になった。作者はどういう意図で、それぞれの話にこういうタイトルをつけたのか?内容自体も少々盛り上がりに欠け、重みも足りないように感じた。もう少しずっしりとした読み応えのある内容を望みたい。「マンガみたいな話」というのが、正直な読後の感想だ。
ゆこりん : 19:41 | コメント (0) | 作者別・・はたけなかめぐみ
2012年1月19日
アラミスと呼ばれた女(宇江佐真理)

「父のような通詞になりたい!」
女人禁制の職だった通詞へのあこがれは、やがてひとりの男の出現で現実へと変わっていく・・・。幕末から明治の時代に「アラミス」と呼ばれたお柳の波乱に満ちた生涯を描く。
江戸から明治へ。時代が大きく変わろうとしているときにお柳は通詞になる決心をする。女人禁制の職場に男装して入り込む。自分が想いを寄せる男のために、お柳は命さえも懸けるつもりだったのだろう。男を陰で支え続けたことが、時代を大きく変えることにつながっていく。一途な思い、貫き通した信念。彼女の凛とした生き方には感銘を受けた。お柳の果たした役割は大きい。だが、彼女の名前は決して表に出ることはない。お柳はそれで本当に満足だったのだろうか。人並みな幸せの中に身を置くことだってできただろうに・・・。
田島勝という実在の人物をヒントに描かれているので、読んでいて胸に迫るものがあった。明治維新を別の角度から描いていて、なかなか興味深かった。
ゆこりん : 15:31 | コメント (0) | 作者別・・うえざまり








