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2014年6月 4日

消えた少女(五十嵐貴久)


妻に去られ小学5年生の息子健人とふたり暮らしの川庄は、友人のオカマの京子ちゃんから1年前に行方不明になった少女の捜索を依頼される。いろいろな伝手から情報を得た川庄は、ある人物に不信感を抱く。少女行方不明事件の裏に隠された真実とは・・・?

警察でさえ行方を探し出すことができなかった事件。それを川庄はひとりで地道に調べていく。その川庄の動きに危機感を抱いた人物がいた。事件のカギを握っているのか?だが、事態は思わぬ方向に進んでいく・・・。事件の内容はかなりシリアスだが、川庄やその他の登場人物のキャラクターが面白く描かれているので、読んでいて救われる思いがした。1年前に自宅近くで忽然と姿を消した少女。だれも少女を目撃していない。川庄は丹念に情報を収集していく。ほんのささいな情報ばかりだが、集まればひとつの大きな真実を映し出す。その過程は興味深いものがあった。ラストは何となく想像がついてしまい意外性は感じなかったが、すごくつらいものがあった。
人は、自分の罪から顔をそむけたままで生きてはいけない。何もなかったことにはできないし、誰かの犠牲の上には幸福な生活は築けない。そのことを強く感じた。

ゆこりん : 19:59 | 作者別・・いがらしたかひさ