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2006年4月22日

あの日にドライブ(荻原浩)


ほんのささいな上司とのもめごとで辞表を出した。大手銀行を辞めた伸郎はタクシー運転手となるが、どこかなじめないでいた。家族とのぎくしゃくした関係、職場でのストレスが、いつしか伸郎を過去のにおいのする場所へと向かわせた・・・。

「どこで間違ってしまったんだろう?」大手銀行を辞めた伸郎はいつもそう考えている。だが、そう考えている限り前には進めないことに気づいていない。過去を懐かしみ、できるならあの日に戻りたいと過去を追い求める。その姿には哀れさがただよう。だが、過去にこだわることが愚かだと知ったときに、身近にある大切なものが見えてくる。家族がどれほど自分を思ってくれているのかも分かってくる。今の自分の姿は、自分自身が今の人生を選択した結果なのだ。その結果がどうであれ、人はこれからも前を見て歩くしかない。この作品はあらためてそのことを教えてくれた気がする。

ゆこりん : 15:33 | 作者別・・おぎわらひろし