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2012年10月30日

天地明察(冲方丁)


時は4代将軍徳川家綱の時代。正確さを失いつつあった「宣明暦」に代わる暦が求められていた。改暦を任されたのは、渋川春海という碁打ちの名門に生まれた男だった。「天」を相手に、春海の長く壮絶な戦いが始まった・・・。

天文学や数学がまだそれほど発達していなかった時代に暦をつくるのは、かなり大変なことだと思う。気の遠くなるような地道な努力が延々と続く。また、改暦を快く思っていない者もいる。彼らをどう説得していくべきか、そのことにも心を砕かなければならない。さまざまな人たちが、本当にさまざまな人たちが、同じこころざしを持ち困難に立ち向かった。一歩ずつ目的に向って歩み続ける春海たち。数々の紆余曲折を経て、ついにその日は来た!ラストは、本当に感動した。「やったー!」と思った。あまりの感激に、涙が出そうだった。春海や、春海を支えてくれる人たちのたゆまぬ努力があればこそ、成し遂げられたことなのだ。現代・・・。天文学、数学、物理学などずいぶんと発達したけれど、宇宙の神秘的な謎のすべてが解明されるレベルには至っていない。「天」を相手の戦いは、これからもずっと続いていくことだろう。
長編だけれど長さをまったく感じさせない、さわやかな感動が味わえる面白い作品だった。オススメです!

ゆこりん : 16:16 | コメント (2) | 作者別・・う他


コメント

この作品はとても重みのある面白さでした。
読んでいる最中はさも自分が測量を行っている気分で
読み終えたときに変な達成感がありました。

あまりによかったので父親にすすめたところ
父親も絶賛の作品となりました。

映画も話題呼んでいますね。

投稿者 ats : 2012年10月30日 23:14

>atsさん
私も、達成感がありました。
今のように優れた道具もないのに、よくあれだけの
偉業を成し遂げられたものだと感心します。
私も家族に勧めてみます(#^_^#)

投稿者 ゆこりん : 2012年10月31日 19:24