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2012年3月23日

錨を上げよ(百田尚樹)


戦後から10年。昭和30年に、又三は大阪下町で生まれた。破天荒な性格は小学生の頃からで、しばしば両親を悩ませた・・・。
どんなに挫折してもくじけず、おのれの心の命ずるままに生きた男の半生を描いた作品。

私は、主人公又三と同じ時代を生きてきた。新幹線開通、東京オリンピック、高度経済成長、石油ショック、ロッキード事件、三島由紀夫事件、浅間山荘事件・・・。どれも、又三と同じくリアルタイムで経験してきた。当時、私や私の周りにいた友人たちは、真剣に自分自身を見つめ、人生についてもっとまじめに考えていたと思う。だからこそ、彼の生きざまが受け入れられない。許せない。
何をやらせても中途半端で長続きしない。自分の人生について、心の底から真剣に考えたことなどない。気に入らないことがあれば相手を殴り暴れまわる。お金を稼ぐためなら、他人の迷惑になろうが法に触れようがまったくおかまいなし。相手を思いやるという、人としての根本的なところが欠けている。女性に対してもそうだ。相手に理想を押しつけるが、又三自身の異性との関係は最悪だ。いったいこんな男の人生のどこに魅力を感じることができるのか。彼の人生には共感するところがまるでない。今後の又三の生きざまにも、興味を示すことができない。単行本上下巻あわせて1200ページの大作だが、読後の充実感は全然感じられなかった。さまざまな男の人生を読んできたが、怒りしか感じない主人公は初めてだった

ゆこりん : 13:51 | コメント (2) | 作者別・・ひゃくたなおき


コメント

ゆこりんさん、こんばんは。
お久しぶりにのぞいてみたら「錨をあげよ」が
よくなかったみたいですね。
もしかして僕の年間ランキング参考にしてもらってたら
申し訳ないです^_^;

でもゆこりんさんに酷評されても平気です。
っていうか、「共感すべきところがまるでない」のフレーズ
なんでかな、笑っちゃいました。

また良い本推薦できるようにがんばるづら(*^^)v

投稿者 ats : 2012年5月10日 22:54

>atsさん
お久しぶりです。いつも日記は拝見していますが、
読み逃げです(^^;すみません!!
実は、この本を読んだらatsさんに報告に
行こうと思っていましたが、あまりにも印象が
よくなかったので、結局やめました。
でも、その印象の悪さで、かえって心に残る
本になってしまいました(;^_^A
この本は、いろいろな人がほめてました。
絶賛しているのはatsさんだけではないです。
同世代ということで、又三を見る目が厳しかったかも
しれません。それに、読者が女性か男性かで評価が
かなり違うのではないかと思います。
「共感すべきところがまるでない」
ちょっと表現がおかしいような気がします。
直しておこうっとo(*^▽^*)o

投稿者 ゆこりん : 2012年5月11日 15:34