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2011年5月19日

乱紋(永井路子)


織田信長の妹お市の方と浅井長政の間に生まれた三姉妹、茶々、初、江。彼女たちのたどった運命は・・・?

本の裏側に書かれた「おごうの生涯を描く」という一文に、まんまとだまされてしまったような感じだった。確かにお江は登場する。彼女の運命も描かれている。しかしそれは間接的で、「おちか」や「ちくぜん」という人物を通して語られるのみだ。お江の心の内をじかに描写しているところはひとつもない。お江の存在はふわふわしていて曖昧でとらえどころがない。作者がいったいどういう意図でこの作品を描いたのかが理解できない。この作品を通し作者は何を読み手に伝えたかったのか?それもまるで分からない。歴史の流れ・・・。その大きなうねりの中で、当時の人たちはどう生き抜いていったのか?歴史小説の面白さはそこにあると思う。この作品では、そういう面白さをまったく感じることができなかった。とても残念だ。

ゆこりん : 19:33 | 作者別・・な