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2010年8月27日
夕映え(宇江佐真理)
元武士だった岡っ引きの弘蔵とおあき夫婦が営む縄暖簾の店「福助」は、いつも繁盛していた。このささやかな幸せがいつまでも続くかに見えたが、幕末から明治にかけての時代の波が、ふたりを飲み込んでいく。そしてついには、息子良助が彰義隊に志願してしまった。先の見えない中で、弘蔵とおあきは必死に生きていこうとするが・・・。
庶民の暮らしを軸に、庶民の目線で幕末から明治にかけての時代の流れをていねいに描いている。官軍と幕府軍。命を懸けて戦う彼らの運命も過酷だが、いつの時代も翻弄されるのは平凡に生きている人たちだ。毎日のささやかな暮らしさえも、激動の時代の中では守りきれない。弘蔵とおあきも自分たちの生活を必死に守ろうとするが、時代のうねりは容赦なく彼らの人生を変えていく。彼らの人生ばかりではない。息子良助の運命をも変えてしまった。奉公先を飛び出し彰義隊に志願した良助だが、待っていたのは残酷な運命だった・・・。多くの犠牲を払わなければ、時代の流れを変えることはできないのか?やりきれない思いだ。
かなりの長編で途中飽き気味のところもあったが、まあまあ面白い作品だった。
ゆこりん : 19:44 | 作者別・・うえざまり