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2010年9月 9日

星を継ぐもの(ジェイムズ・パトリック・ホーガン)


始まりは、月面で発見した宇宙服を身に着けた死体だった・・・。明らかに人間のはずなのに、どの月面基地にも所属していなかった。それどころか、彼は現代人ではなかった。何と!5万年前の人間だったのだ!彼はどこから来たのか?現代に生きる人類との関連は?

SF、いや壮大な宇宙のロマンか。この作品を読んでいると、果てしない宇宙の広がりや、気の遠くなるような時間の長さを感じる。
月面で発見された5万年前の人間の死体。しかも、彼が生きていた時代には高度な文明があった。このことをどう説明できるというのか?あらゆる知識人たちが集まってその謎を解明しようとする。死体は、チャーリーと名づけられた。ほんのわずかな手がかりから、チャーリーの生きていた時代を探る作業が続く。そして、謎が解き明かされるときが来る・・・。何という大胆な発想だろう。読んでいて思わず声を上げたくなるほどだった。地球と月を舞台にこれほどのものが書けるなんて!謎解きの面白さだけではなく、作者は読み手に宇宙へのあこがれを抱かせる。
夜、星を見て思うことがある。「この星の中に、生物がいる星はあるのだろうか?」それは、いてほしいという私の切なる願いでもある。宇宙は謎だらけだ。この作品のようなことが実際に起こるかもしれない。そう考えるとワクワクしてくる。
ミステリー、ファンタジー、そしてロマン。あらゆる感覚を味わうことのできる作品だと思う。ラストも、強い余韻が残る。ぜひ一度読んでみては♪

ゆこりん : 18:12 | 作者別・・し他