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2010年1月18日

さらば深川(宇江佐真理)


材木商伊勢屋忠兵衛の女房が亡くなった。忠兵衛はこれを機にお文に言い寄るが、お文は忠兵衛の誘いをはねつける。忠兵衛のお文に対する気持ちが変わったとき、お文の家は炎上した。表題作「さらば深川」を含む5編を収録。髪結い伊三次捕物余話シリーズ3。

今回も起伏に富んだ読み応えのある話ばかりだった。増蔵の意外な過去が浮き彫りになる「因果堀」では、男心女心をしみじみと読ませる。「ただ遠い空」では、祝言を間近に控えたおみつと、おみつの代わりにお文の世話をすることになったおこなの様子を描いている。どうしようもないけれど、心底憎めないおこなという女性をいきいきと描いているのが印象的だ。「竹とんぼ、ひらりと飛べ」では、お文の素性が明らかに!お文のとった行動は、はたしてあれでよかったのか?悔いはないのか?余韻が残る話だった。「護持院ヶ原」は、なんとも不思議な雰囲気の話だった。このシリーズの話の中では異色とも言える。表題作の「さらば深川」では、伊三次とお文の関係に変化が・・・。これからの展開が楽しみな話となっている。毎回毎回登場人物たちに意外なことが起こる。本当に魅力あるシリーズだと思う。

ゆこりん : 15:18 | 作者別・・うえざまり