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2009年11月29日

紙魚家崩壊(北村薫)


ふたりが一緒になることで得た完璧さは、ふたりが別れることで悲劇に変わる・・・。完璧なものを追い求めたために起こる、ある崩壊を描いた表題作「紙魚家崩壊」を含む9編を収録。

この作品の中に収められている話は、どれも独創的で個性的なものばかりだった。「溶けていく」は、自分の作り出した世界に引きずり込まれていく女性の狂気を描いた興味深い話だった。「白い朝」は、日常の中のミステリーと呼ぶほどではない、ほんのささいな謎に隠された真実がほほえましい。「おにぎり、ぎりぎり」では、おにぎりを誰が作ったのかについての推理と現実の微妙なずれに、思わず笑ってしまった。「新釈おぎばなし」は、まさに新釈!「とにかく読んでみてほしい。」そう言わずにはいられない。そのほかの話もなかなか味わいがあった。北村薫という作家の別の一面を垣間見ることができる作品だと思う。

ゆこりん : 13:40 | 作者別・・きたむらかおる