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2008年6月18日

覆面作家の夢の家(北村薫)


大きさ12分の1のドールハウスで殺人事件が!被害者は死の直前にダイイング・メッセージを残していた。「恨」一文字・・・。この文字に込められた、ドールハウスの作成者の思いとは?表題作を含む3編を収録。覆面作家シリーズ第3弾。

収められた3編の中では、「覆面作家、目白を呼ぶ」が一番印象的だった。この話の中では、作者がマルハナバチを実に効果的に使っている。また、事件が起こるきっかけとなった出来事や犯人の動機など、読んでいていろいろ考えさせられる部分もあった。人の心の中にひそむ恐ろしさもよく描かれていたと思う。表題作「覆面作家の夢の家」は、とても凝った作品に仕上がっている。作者の奥深い知識が如何なく発揮された作品だと思う。ただ、内容が緩慢過ぎて、読んでいて退屈な思いを味わった。謎が解き明かされていく過程でのワクワク感もあまり感じられなかった。私としては、期待はずれの作品だった。

ゆこりん : 16:40 | 作者別・・きたむらかおる