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2008年4月 2日

あなたがここにいて欲しい(中村航)


「守れるものの総量は限られている。これからは、大切なものを自分から守りにいかなくては!」
過ぎ去った懐かしい日々のこと、友達のこと、そして愛する人のことなど、「吉田くん」を取り巻くできごとを、ほのぼのと描いた表題作を含む3編を収録。

収録されている3編の中で特に印象に残ったのは、表題作の「あなたがここにいて欲しい」だった。読んでいると、いつもよりゆっくりと時間が流れている空間に身をゆだねているような感じがした。疲れた心が癒され、温かな気持ちになってくる。吉田くんと又野君の友情、吉田くんと舞子さんのほのぼのとした恋愛に、とても好感が持てた。私は、自分にとって大切なものをきちんと守っているだろうか?そんなことも考えさせられた。とにかく、穏やかで優しい作品だった。読後もさわやかな余韻が残り、心地よかった。

ゆこりん : 16:28 | 作者別・・な