« 家日和(奥田英朗) | メイン | あなたがここにいて欲しい(中村航) »

2008年4月 1日

氷菓(米澤穂信)


姉が通っていた高校に入学した奉太郎は、旅行中の姉から古典部に入るように勧められる。そして、入部した仲間からある謎解きを依頼され、解き明かしていくことに・・・。それは次第に、33年前の謎につながっていく。古典部の文集「氷菓」に込められた思いとは?9編を収録。

私が高校の頃、新校舎の横にはまだ旧校舎の一部が残されていて、そこは文科系の部の部室として使われていた。当時のそんな様子を思い出しながら、ちょっぴり懐かしい気持ちで読んだ。
学校生活や部活動の中で起こるちょっとしたミステリアスなできごと。奉太郎は次々とその謎を解いていく。そしてそのことは、同じ部の千反田の叔父が絡む33年前に起こったあるできごとの真実を掘り起こすことになる。一人の人間の運命を狂わせたできごとは、高校時代に似たような経験をした私にとっては胸の痛くなるような話だった。ラストで明かされる「氷菓」という名前に込められた思いも、切ない。青春とミステリーが組み合わされた「古典部シリーズ」を、これからも楽しんで読んでいきたい。

ゆこりん : 15:20 | 作者別・・よねざわほのぶ