« となり町戦争(三崎亜記) | メイン | 日暮らし(宮部みゆき) »
2005年3月 2日
ソナタの夜(永井するみ)
翻訳の仕事を通して知り合った国枝との関係は何ものにも替えがたい。だが彼には帰るべき家があり、真穂は国枝を独り占めにはできない。「わたしたちの逢瀬はソナタ形式でできた器楽曲のようなもの。」真穂はそう思う。表題作「ソナタの夜」を含む7つの作品を収録。
どの物語の男と女の間にも秘密があった。夫婦間の秘密、愛し合う相手との間の秘密。秘密を抱えながら逢瀬を重ねるから、いっそう心が燃えるのか?だが、どの話からも暗くよどんだような印象を受けてしまう。そこには明るさや希望がなぜか見えない。退廃的な感じしかしなかった。もどかしさやイライラ、そんなものを抱えながら読み終わった。ここに出てくるどの女性にも共感できない。