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2005年2月28日

となり町戦争(三崎亜記)


となり町との戦争が始まる。町の広報誌でそれを知った修路。だが、戦争が起こっている気配がないまま時だけが過ぎていく。しかし町の広報誌には戦死者の数が載っていた。そして修路にも「戦争特別偵察業務従事者」任命の通知が届いた。

目の前で戦争が起こっているわけではない。だが確実に戦死者は増えていく。誰も反対しない。そんな異常な状況が異常と思われていない。淡々と戦争が起こるという事実が、逆にぞっとする恐ろしさを感じさせる。何も見えないから、何も感じないからと言って、戦争がなかったことにはできない。舞坂町はまた戦争を計画するのだろうか?そのとき、住民はまた何の抵抗もなく受け入れるのだろうか?人の生死に対しての無感覚さ。それは私たちの身近にもあるようで、とても怖い。

ゆこりん : 21:47 | 作者別・・み他