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2004年9月20日
西の魔女が死んだ(梨木香歩)
中学生になってから登校拒否になってしまったまい。心配した両親は、落ち着くまで、まいをおばあちゃんの家に預けることにした。「西の魔女」ことおばあちゃんとまいの、新たな生活が始まった。他に、まいのその後を描く短編一つを収録。
おばあちゃんとの生活は、まいの心をなごませる。どんな励ましの言葉もいらない。おだやかな生活の中で、まいは心を癒していく。そして同時に、強くなっていく。おばあちゃんの温かさが、読む側にも伝わってくる。平凡な日常だけれど、そこに流れる時間は、かけがえのない貴重な時間だ。おばあちゃんが最後にまいに見せた魔法は、とってもすてきだった。読んでいて胸が熱くなる。生きることも死ぬことも、どちらも人にとっては大切なことなのだと、あらためて感じた。