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2002年12月 8日

泣きの銀次(宇江佐真理)


「妹のお菊を殺したのは、いったい誰なんだ!?」大店の跡継ぎだった銀次は、店を弟に譲って十手持ちになる。果たして銀次は下手人を見つけることが出来るのか・・・?

「泣きの銀次」と呼ばれるほど、銀次は死体を見て泣く。とにかく泣く。しかし、その涙は無念のうちに終えてしまった命を惜しむ涙なのだ。銀次の心の優しさが、彼自身を泣かせるのだ。
そんな銀次のまわりには、彼を温かく見守る人たちがいる。現代に生きる私たちが忘れてしまった「人情」が、そこにしっかりと描かれている。事件は悲惨な事件だが、人と人とのふれあいをうまく描いているので、読み手はその事件をやんわりと受け取ることができる。ラストもよかった。

ゆこりん : 11:45 | 作者別・・うえざまり