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2002年12月 8日
青の炎(貴志祐介)
「許せない!」秀一はかつての母の夫、自分の義父だった男を殺す計画を立てる。母のため、妹のため。だが、その憎むべき男は愛する妹の実父でもあった・・・。
少年犯罪を描いた作品だが、なんとも切ない。母や妹を守るために、17歳の少年が出した結論はあまりにも切なすぎる。
憎しみの炎は赤からやがて青に変わる。一見冷たく見えるが、赤い炎よりはずっと高温で、激しく燃焼する青い炎に。だが、その炎は一歩間違えば自分自身をも焼き尽くす炎となるのだ。危ういバランスの中でやがて迎える結末。彼はこういう結末を覚悟していたのだろうか?その結末を迎えようとしたとき、彼は何を見て、何を考えていたのだろうか?同じ年頃の息子を持つ母として、傷ついた彼の姿は見るに耐えない。「抱きしめてやりたい。」そう思った。