« 収容所から来た遺書(辺見じゅん) | メイン | 最後の恋 Men's(アンソロジー) »

2014年3月20日

人類の星の時間(シュテファン・ツヴァイク)


たとえ天才といえども、人生には必ず転機が訪れる。12人の天才たちに訪れたそれぞれの転機・・・。「もしあの時、違う行動を取っていたのなら。」そう思える瞬間を鮮やかに描いた作品。

たとえば、ナポレオン。部下のグルーシーが全く違う行動を取っていたのなら、彼の敗北はなかったかもしれない。そうなると、世界の歴史は大きく変わったのだが・・・。
「進むのか戻るのか?」「やるかやらないか?」「イエスかノーか?」そういう歴史の決定的な瞬間を読むと、ワクワクしてくる。歴史は変えられない。登場する過去に生きた者たちの運命はもう決まってしまっているのだ。けれど、決断を誤った者が堕ちていくさまは、苦い思いで読んだ。一瞬のきらめきをつかんだ者だけが、栄光の未来を手に入れられる。どう決断するかで大きく変わる未来。先がまったく分からないから人生は面白いし、逆に苦悩することにもなる。
どの話も面白かった。どんな人間にも人生の転機は絶対にある。自分はその時どう行動すべきか?結果はどうであれ、悔いだけは残したくないと思った。

ゆこりん : 22:00 | 作者別・・し他