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2013年11月15日

私と踊って(恩田陸)


ダンス会場で誰からも声をかけられることなく、忘れられた存在のようだった私に、声をかけてきた少女がいた。
「私と踊って。」
「ダンスは男の人と女の人がするものでしょ?」
そういう私の前で、少女はひとりで軽やかに踊った。それがふたりの出会いだった・・・。
表題作「私と踊って」を含む19編を収録。

どの話も、恩田陸の独特の世界観の中で描かれている。わたしの一番のお気に入りはミステリアスな「心変わり」だ。少しずつ少しずつ見えてくる真実。その緊迫した状況に、読んでいて胸がどきどきしてきた。表題作「私と踊って」もいい。ふたりの少女が出会い、やがてそれぞれの道を歩き始め別れが来るまでの描写は、強烈な印象を私に残した。「東京の日記」は最後に書かれた横書きの話だ。内容よりもその発想の面白さに惹かれた。「忠告」も異色でよかった。こんな犬が実際にいたら面白いと思う反面、怖いとも思う。また、一番驚いたのは「交信」だった。これは20番目の話になるのだが、それは・・・読んでからのお楽しみ♪とにかくユニークだった。
これだけさまざまな色の話を描ける恩田陸は、やはりすごい!中には理解し難いものもあったが、恩田ワールドにどっぷりと浸れる作品だと思う。

ゆこりん : 20:25 | 作者別・・おんだりく