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2013年10月23日
怪物(福田和代)
刑事の香西には、人が死ぬ瞬間に発散する「死」の匂いを感じ取ることができるという特殊能力があった。彼は、失踪した橋爪という男の行方を追い求めているときに、ゴミ処理施設で働く真崎という青年と出会う。真崎の周辺に「死」の匂いを感じ取った香西は、真崎が橋爪の失踪に関わっているのではと疑いを抱く。「この男が犯人なのか?」香西は、真崎という男に次第にのめり込んでいくのだが・・・。
失踪した男はいったいどこに消えたのか?真崎からゴミの特殊な処理方法を聞かされた香西は、真崎に疑念を抱く。そんな中、別の事件が起こった。それは、香西の刑事としての正義感を根底から覆してしまう。香西はしだいに泥沼にはまり込み真崎に翻弄させられるが、その過程はなかなか面白いと思った。だが、後半になるにつれ話の軸が次第に逸れていくような違和感を覚えた。前半と後半では全く印象が違う感じがする。それに、作者の言わんとしていることが曖昧で分かりづらい。何に主点を置いているのかはっきりしない。香西の心が変化していく様子も説得力が弱い。読んでいて、ん?ん?ん?と疑問符が頭の中を飛び交った。ラストもすっきりしない終わり方で、読後感もよくなかった。少々期待外れだった。