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2013年8月27日

チーム(堂場舜一)


箱根駅伝に出場できなかった大学の中から好成績の者を選び出し「学連選抜」チームが作られた。「学校のために、一緒に練習してきた仲間のために、襷をつなぐ。」そういう想いがなくても走れるのか?選抜チームのメンバーの胸に去来するものは・・・。

チームスポーツといわれている箱根駅伝。はたして個人個人のタイムがいいというだけで、にわかチームの「学連選抜」が勝てるのか?メンバーそれぞれの想いが交錯し、時には激しくぶつかり合う。チームとしての絆は短期間にできるものではない。お互いがお互いを知るまでには、長い時間が必要なのだ。「何のために走ればいいんだ?」キャプテンに指名された浦の苦悩は続く。チームに馴染もうとしない山城という問題選手も抱えている。それでも、彼らは少しずつそして確実に前進する。箱根駅伝のレースの描写は圧巻だった。読んでいると、ひとりひとりの走りが頭の中に鮮やかに浮かび上がった。傍目には華やかに見える駅伝も、走る側からすれば実に繊細な部分を持った厳しい競技なのだ。ほんのささいなことがきっかけとなり、悲劇を生むこともある。最後まで絶対に気が抜けない緊迫のレース展開。手に汗握る緊張の連続だ。だが、ラストにはさわやかな感動が待っていた!駅伝の持つ魅力を存分に味わうことのできる作品だと思う。

ゆこりん : 18:23 | 作者別・・どうばしゅんいち