« 星新一 空想工房へようこそ(最相葉月) | メイン | チーム(堂場舜一) »

2013年8月 9日

ようこそ、わが家へ(池井戸潤)


電車を待つ人の列に割り込んできた男。倉田太一は、正義感からその男を注意する。だが、事はこれだけではすまなかった。それ以降、倉田家には嫌がらせが相次いだ。そのうえ、倉田の出向先の会社の部長にも不正疑惑が・・・。家でも会社でも窮地に立つ倉田。打開策はあるのか!?

ちょっと相手を注意しただけで逆恨みされる。そんな馬鹿なことがあるのか?にわかには信じられないが、こういうことが小説の中だけではなく、現実の世界にも起こっているのだ。
「さらにいうと変態だ。そいつがわが家に狙いを定めたんだ。奴にとっては、ウチは嫌がらせゲームの標的なんだ。」
倉田の息子の健太の言葉は、読み手の背筋をゾクッとさせる。人に恨まれる・・・。ホラー話よりもずっと怖い。
家のこと会社のこと、倉田太一の周りには深刻な問題が山積している。部長の不正を暴けるのか?逆恨みする者の正体を突き止められるのか?読み始めたらもう最後まで止まらない。ただひたすら結末をめざして突き進むのみ!「どうか救われるラストでありますように。」それだけを願いながら読んだ。今回も池井戸ワールドに完全に引きずり込まれてしまった。納得のいく面白さだった。

ゆこりん : 11:33 | 作者別・・いけいどじゅん