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2013年7月24日

御鑓拝借(佐伯泰英)


大酒会で一斗五升の酒を飲み、寝過ごして藩主の参勤下番の見送りができなかった・・・。屋敷からの立ち退きを命じられた赤目小藤次だが、実は彼には大きな目的があった。「江戸城中で他の大名たちに辱められた藩主の無念を晴らす!」小藤次は、孤独な戦いに身を投じた・・・。酔いどれ小籐次留書シリーズ1。

下屋敷の厩番と身分は低いが、藩主を思う気持ちは誰にも負けない。おのれの命を賭けてまでも藩主の汚名を雪ごうとする。小藤次は、藩主を辱めた大名の行列を襲撃し槍を拝借する。目指すは鑓4本。1本、また1本と、行列を襲い槍を手に入れる小藤次の行動は読んでいて爽快だ。だが、さすがに4本目の鑓は厳重な警戒だった。はたして小藤次はどうするのか、まさに手に汗握るその瞬間!鮮やかな手並みは、その場に居合わせた者たちに遺恨や立場を忘れさせ、感嘆の声を上げさせるほどだった。「お見事!」まさにそのひと言だ。それにしても、槍を奪われたというだけで改易の危機に直面するというのが、現代を生きる者にはどうしても理解できない。たかが鑓1本のことなのに・・・。
さて、小藤次の活躍はこれからもまだまだ続く。彼はこれからどんな人生を送るのか?このシリーズにはまりそうだ。

ゆこりん : 17:44 | 作者別・・さ他