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2013年5月27日

夢幻花(東野圭吾)


花を育てるのが好きな祖父周治のために、梨乃はブログを作成し、彼の育てた花を写真入りで載せていた。だが、周治がブログに載せるのを強く禁じた花があった。黄色い花・・・。その花にはいったいどんな秘密が隠されているのか?そんな中、周治が何者かに殺され、黄色い花が奪われた!梨乃は真相を探るべく行動を開始したのだが・・・。

祖父が殺されたとき、何者かが黄色い花の鉢を持ち去ったことに気づいた梨乃は、ブログでその花の写真を公開し情報を得ようとした。そんな梨乃に近づいてきたのは、蒲生洋介だった。そしてその弟の蒼太もひょんなことから梨乃と知り合いになる。蒼太は、父や兄洋介に対し幼い頃からなぜか違和感を抱いていた・・・。
蒼太が違和感を抱く蒲生家の秘密とは?蒼太の兄の不可解な行動は?そして蒼太と知り合った孝美がなぜ突然離れていったのか?梨乃の祖父はいったいどんな思いを抱えていたのか?などなど、作品のあちこちにはささいな疑問や謎、違和感が散らばっている。読み終えたあと、そういうものすべてに重要な意味があり、きっちりとつながっていることに驚かされた。作者は実に巧みにストーリーを構築している。読み手は、読めば読むほどこの作品から離れられなくなってしまう。「真実が知りたい!」その思いが強くなる。ラストまで一気に読ませる力がある作品だと思う。ただ、物事のつながり方が少々強引だと思うところもあった。黄色い朝顔のたどった運命、人それぞれの思いなど、心に響く部分もあったが・・・。まあまあ面白い作品だと思う。

ゆこりん : 19:05 | 作者別・・ひがしのけいご