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2013年4月14日

銀の島(山本兼一)


「崇高で美しい魂の物語を書きたい。」
作家である"わたし"は、フランシスコ・ザビエル神父について書くことを決心する。はるばる神父ゆかりの地ゴアにやってきた"わたし"は、ある日本人の手記を発見したが、そこには驚くべきフランシスコ・ザビエルの姿が描かれていた・・・。

「神父に抱いていた崇高の念は幻想だったのか!?」
神に仕えるザビエルだが、ひとりの人間としての生々しい姿もさらけ出している。そこに安次郎は矛盾を見出した。だが、ザビエルには彼なりの理論や信念があった。石見の銀が、人々の欲望をむき出しにさせる。ザビエルもその醜い渦の中に否応なく巻き込まれていく・・・。
さまざまな人間の波乱万丈のドラマが次々に語られていく。読んでいて引き込まれた。けれど、中盤はだらだらとした描写が続き少々うんざりした。また、本の帯の「石見銀山を死守せよ!」の言葉に惹きつけられ期待して読み始めたのだが、その部分はページ数も少なく、意外にあっさりと描かれていて拍子抜けした。盛り上がりに欠ける対決シーンには多いに不満が残る。なぜこんなにあっけなく終わらせてしまったのか不思議だ。ここが一番の読ませどころではないのか?発想がよかっただけに、読後に満足感が得られなかったのがとても残念だ。

ゆこりん : 16:20 | 作者別・・や他