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2013年3月28日
てふてふ荘へようこそ(乾ルカ)
「格安物件!」だが、旨い話には裏があった・・・。てふてふ荘の6つの部屋すべてには、自縛霊がいたのだ!入居者と自縛霊の、切なくて温かな物語6編を収録。
自縛霊との同居!何ともユニークな設定だ。人は、生きていても死んでいてもさまざまな悩みや苦しみを抱えているのだなぁ・・・。それぞれの心のひだに隠された悲しみに触れるたび、胸が痛かった。生きるって何だろう?死ぬって何だろう?この作品を読んでいると、その境界線を考えずにはいられない。どの話もよかった。特に3号室の話には心を揺さぶられた。誠意を持って臨めば、相手も誠意を持って返してくれる。努力すれば報われるのだ!
泣けた。とにかく泣けた。でも、悲しいばかりではない。今後の人生に希望が持てるような、前を向いてしっかり生きていけるような、そういう気持ちにもさせてくれた。ほのぼのとしたぬくもりが心に残る、珠玉の作品だった。