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2013年3月27日

メグル(乾ルカ)


学生部にいる彼女は、学生にアルバイトや家庭教師を斡旋する奨学係唯一の女性職員だったのだが・・・。
彼女にアルバイトを強制された学生たちは、アルバイト先で不思議な体験をする。奇跡は、本当に存在するのだろうか?5編を収録。

どの話も不思議な話だった。特に印象に残ったのは「ヒカレル」だ。逝く者遺される者、どちらもとても寂しいのだ。そのどうしようもない寂しい思いが、読み手側にも切々と伝わってくる。けれど、悲しさの中で起こった奇跡に、未来への光を見た。
「モドル」もよかった。バラバラになりかけていた家族の心がまたひとつになっていく。悲しみや怒りが消え、思いやりの心が生まれていくさまに救われる思いがした。
最後に収録されている「メグル」も印象に残った。不幸な最期を迎えなければならなかった女性の悲哀が凝縮されている。ラストの彼女の言葉が胸に突き刺さる。ホロリとした。
独特の世界観を持つ作品で、切ない中にも「ヒト」というものがしっかりと描かれていて好感が持てた。ステキな作品にめぐり会えて、本当によかった♪

ゆこりん : 21:19 | 作者別・・い他