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2013年3月 8日

七つの会議(池井戸潤)


出世街道からはずれ居眠りばかりしている万年係長の八角が、最年少で課長に昇進した坂戸をパワハラで訴えた!坂戸に対する異例ともいえる厳しい処分に、原島は疑問を抱く。実は、このパワハラ問題には、深刻な事実が隠されていた・・・。「居眠り八角」を含む8編を収録。

大企業の奢りか?消費者を無視した利益優先主義。そのことに異議を唱えれば出世街道からはずされる。見て見ぬふりをしなければ会社内で生き残ることができないなんて、あまりにもひどすぎる。会社勤めをしている者が出世を望むのは当然のことだと思う。けれど、出世のためには手段を選ばないという考え方には猛烈に抗議したい。安全性が優先ではないのか?大事故が起こってからでは遅すぎる。この作品に登場する東京建電という会社には怒りを感じる。ミスを隠蔽したり、正しい意見を言う者が排除されるということは、決してあってはならない。嘘をついて信頼を失った会社に、もう未来はない。
今回も非常に熱くなって読んだ。憤りも感じた。でも、ラストで救われる思いがしてほっとした。一気読みするほどの面白い作品だった。

ゆこりん : 17:31 | 作者別・・いけいどじゅん