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2012年12月25日

敗者の嘘(アナザーフェイス2)(堂場舜一)


神田の放火殺人事件の容疑者が自殺してしまった!だが、突然犯人が名乗り出た。名乗り出たのは、篠崎優という女性弁護士だった。彼女の意図はいったいどこにあるのか?元の上司福原の命令で、大友はこの事件にかかわることになるのだが・・・。アナザーフェイスシリーズ2。

神田の放火殺人事件の容疑者の渋谷は、本当の犯人ではなかったのか?名乗り出た篠崎の真意がどこにあるのか、大友には見当もつかなかった。だが、真実に見える嘘には、必ずどこかに綻びがある。地道な捜査、そして大友の能力が、渋谷や篠崎の人間性を浮かび上がらせ、同時にその綻びを見つけ出していく。けれど、事件の真相が明らかになっても、大友に喜びの表情は見えない。むしろ、ほろ苦い想いだけが増していくように見える。事件を解決するためでも、やってはいけないことがあるのだ。そのことが見えなくなったとき、悲劇が生まれる・・・。
真実に見えたものが嘘で、嘘に見えたものが真実という面白さはあった。大友の苦悩や怒りもよく描かれていたと思う。また、大友の息子優斗への父親としての描写も心打たれるものがあった。ラストはそれほど意外性はなかったが、よくまとめられていると思う。

ゆこりん : 17:09 | 作者別・・どうばしゅんいち