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2012年12月22日

オレたち花のバブル組(池井戸潤)


巨大損失を出した老舗の伊勢島ホテル。その再建の仕事が、突然東京銀行の半沢に回ってきた。本来は法人部の管轄であるはずの仕事なのだが、頭取の命令によるものだった。失敗は許されない。はたして、解決策はあるのだろうか・・・?

エリートコースを歩いてきた半沢にとって、伊勢島ホテル再建の仕事の是非は、今後の銀行生活を左右するくらい重大だった。金融庁の検査という超難題もあり、まさに絶体絶命の状況だ。解決策はあるのか?その鍵を握るのは、半沢の同期で病気により出世コースを外れた近藤だった。近藤は、銀行員としてのプライドや半沢たち同期の友情を心の支えとして、出向先で孤軍奮闘の日々を送っていた。そして、近藤の奮闘が半沢の仕事にも深く関わってくる。同期のピンチを同期が救う。巨大な組織の中でひとりひとりの存在は小さいかもしれない。けれど、仲間が集まれば、不可能を可能に変えていくこともできるのだ!ラストは、現実の厳しさの中にもほっとするものがあり、とてもよかった。金融庁と銀行の対決も読み応えがあり、楽しめる作品だと思う。

ゆこりん : 18:34 | 作者別・・いけいどじゅん