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2012年11月16日

ソロモンの偽証 第Ⅰ部 事件(宮部みゆき)

12月24日、ひとりの少年が学校の屋上から飛び降り、命を絶った。事件性がないことから、14歳の少年の死は自殺だと思われた。だが、匿名の告発状が状況を一変させる。告発状により次々に広がっていく疑惑の波紋は、やがて大きな波となり否応無しに周りの人間たちを飲み込んでいった。少年の死には、いったいどんな真相が隠されているというのか・・・?

柏木卓也の死は、クラスメイトである城東第三中学校2年A組の生徒たちに大きな衝撃を与えた。自殺!なぜ?さまざまな憶測が飛び交い、さまざまな思惑が入り乱れる。ひとりの少年の死がいろいろな人たちの運命を変えてしまう。そして、送られてきた告発状が事態をより深刻なものに変えていく。最初は小さかった悪意が集まり、ねじれるように合わさり巨大化していく。誰にも、悪意の連鎖は止められないのか!3年生になった藤野涼子ら卓也の元クラスメイトたちは、真実を知りたいと願う。だが、学校関係者たちは必死に体裁を取り繕うのみだった。「大人たちに任せてはおけない!」ついに涼子たちが行動を起こす・・・。
すごい!!最初から最後まで目が離せない圧倒的な迫力のストーリーだ。また、数多くの人物が登場するが、作者はひとりひとりを緻密に描写している。彼らの苦悩、怒り、悲しみ、とまどい・・・多種多様な感情が、読み手の心にダイレクトに伝わってくる。よくこれだけていねいにそれぞれを描けるものだ。この緻密な描写が、この作品をより面白いものにしている。これからの涼子たちの行動は?第Ⅱ部「決意」への期待は高まる。

ゆこりん : 17:46 | 作者別・・みやべみゆき