« 鍵のない夢を見る(辻村深月) | メイン | ソロモンの偽証 第Ⅰ部 事件(宮部みゆき) »

2012年11月15日

禁断の魔術(東野圭吾)


高校の大先輩の湯川を慕い帝都大学に入学した古芝伸吾は、期待に胸をふくらませ大学生活をスタートさせた。だが、たったひとりの肉親である姉の死が彼の運命を大きく変える。姉の死に関わりのある人間に復讐するために彼が選んだ手段とは?「猛打つ(うつ)」を含む4編を収録。ガリレオシリーズ8。

4編どれもが、ガリレオらしい作品だと感じた。その中でも4編目の「猛打つ(うつ)」はダントツに面白かった。姉の死により、ある日突然変わってしまった人生・・・。古芝伸吾が復讐のために利用しようとしたものを知り、湯川は心を痛める。科学技術は、使い方を間違えればとてつもなく恐ろしいものを生み出してしまう。「猛打つ(うつ)」の話の中で、タイトルの持つ深い意味を知ることができる。また、ここには理論に凝り固まった湯川はいない。科学技術の誤った使い方を正そうとする、そしてひとりの人間を救おうとする、人間味あふれる熱い心を持った湯川がいるだけだ。彼の心からの叫びには胸を打つものがあった。ラストは余韻が残るものだったが、これをどう解釈したらいいのだろうか・・・?ガリレオシリーズはこれで終わりだと囁かれているが、もしこれが事実ならとても残念でならない。これからもこのシリーズを読みたいと思うのは私だけではないだろう。たまには湯川に会わせてくれるよう、作者にお願いしたい。

ゆこりん : 20:02 | 作者別・・ひがしのけいご