« 鬼(今邑彩) | メイン | 花のさくら通り(荻原浩) »

2012年9月24日

虚像の道化師(東野圭吾)


教祖の前にいた男が、突然叫び声をあげたかと思うと窓から飛び降りた。触れることなく人間を転落させることができるのか?草薙は、友人である物理学者の湯川を訪ねるが・・・。「幻惑す(まどわす)」を含む4編を収録。ガリレオシリーズ7。

4編のうち「幻惑す(まどわす)」だけが、ガリレオシリーズらしい作品になっているように思う。他人には聴こえない声が聴こえることで起こる事件を扱った「心聴る(きこえる)」もそう思わないでもないが、こちらの話は現実味に欠けるような気がする。真相が分かっても、「そうか、なるほど!」とは思えなかった。「偽装う(よそおう)」、「演技る(えんじる)」は、湯川が登場しなくてもよかったのでは?事件現場や死体の状況からの判断だけではちょっと物足りない。。全体的に、このシリーズを初めて読んだときのような強烈なインパクトが感じられなかった。作者もこの作品を生み出すのにかなり苦労したと聞く。シリーズも限界?・・・とは思いたくない。作者にプレッシャーをかけたくはないが、このシリーズまだまだ読みたいと思っている。なので、東野さん、これからもがんばって書いてください!

ゆこりん : 20:14 | 作者別・・ひがしのけいご