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2012年8月29日

ヒトリシズカ(誉田哲也)


男が拳銃で撃たれ死亡した。だが、射創には不可解な点があった。犯人だと思われていた男は犯人ではないのか?現場から走り去った少女は?シズカというひとりの女性をめぐる物語が始まる・・・。6編の連作集。

さまざまな事件がおきる。その陰に、人を殺すのに何のためらいもない残虐性を持つシズカというひとりの女性の姿が見え隠れする。非情な彼女の行動はその生い立ちに由来するのだが、もともと彼女の中にあったものがあるきっかけで姿を現した・・・そんな気がする。なぜ彼女は人を殺すのか?彼女の行動にはインパクトがある。だが、殺人の動機には少々納得できない部分もある。シズカの心情に寄り添うには、描写不足なのでは?ラストはシズカの意外な面を知ることになったのだが、そこに至るまでの彼女の行動を考えると、今までの彼女のイメージとうまく結びつかなかった。また、あっさりとこういう結末にしてしまったことに拍子抜けした。あまりにも安易な終わらせ方だ。プツンと断ち切られたような感じで物足りない。また、最後までシズカという女性の人物像がぼやけたままで残念だった。

ゆこりん : 16:55 | 作者別・・ほ