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2012年8月27日

歪笑小説(東野圭吾)


伝説の編集者と呼ばれる男がいた。「どんな仕事ぶりなのだろう?」新人の青山は、その男獅子取にあこがれを抱く。だが、獅子取の仕事の仕方はとんでもないものだった・・・。「伝説の男」を含む12編を収録。

作家から原稿を得る。本を作成する。そしてその本を売る。そのどれもが、本当に大変なことなのだということがひしひしと伝わってくる。作者は登場人物たちをユーモラスには描いているが、彼らは必死なのだ。食うか食われるか!弱肉強食の世界に生きている。「自分の出版社の本を売るためなら、どんなことでもやってやる!」彼らの悲壮な決意が聞こえてくるようだ。ブラックユーモア的な話の中にも切ないところがあり、なかなか面白い。作者の本音もたくさんちりばめられているような気がする。東野さん、本業界の内幕をこんなに赤裸々に暴露しちゃっていいの?(笑)12編のほかに「巻末広告」が載せられている。灸英社の作品だ。それもぜひじっくり読んでもらいたい。登場人物たちのその後が・・・。

ゆこりん : 20:38 | 作者別・・ひがしのけいご