« 人質の朗読会(小川洋子) | メイン | モルフェウスの領域(海堂尊) »

2012年6月 5日

幽霊殺し(平岩弓枝)


死んだ女房が化けて出た!?恐ろしくなった亭主が、障子越しに脇差で突いてみると・・・。表題作「幽霊殺し」を含む7編を収録。

7編の中では、「三つ橋渡った」が一番印象に残った。盗賊の一味の中にいた娘の、それまで歩んできた人生があわれだった。「三つ橋渡った」・・・。この言葉の持つ重要性がよく描かれていたと思う。ラストはホッとした。本当によかったと思う。
そのほかの話も読み応えがあった。「幽霊殺し」では、意外な真相が待っていて興味深かった。「恋ふたたび」では、ゆがんだ心を持った者の犠牲になった子供があわれだった。「奥女中の死」では、ひとりの女の悲しい生涯が胸を打った。「源三郎の恋」では、源三郎の意外な恋の相手に驚かされた。
この作品を読んでいると、人生というものについて深く考えさせられる。また、欲やねたみが、人の心を捻じ曲げてしまう恐ろしさやあわれさも感じた。「人はどう生きるべきか?」それは、生きている限り考え続けなければならないことなのかもしれない。これからも、このシリーズを楽しみながらじっくり読んでいきたいと思う。

ゆこりん : 19:35 | 作者別・・ひらいわゆみえ