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2012年6月 7日

モルフェウスの領域(海堂尊)


再発した網膜芽腫の特効薬承認を待つため、14歳の佐々木アツシは5年間の眠りについた。コールドスリープ・・・。アツシを見守る日比野涼子は、少年が目覚めるときに起こる重大な問題に気がついた。彼を守るために、涼子がとった行動は?

この作品を描いた作者の意図が分からない。この作品を通して何が言いたかったのか?コールドスリープというとても興味深いものをテーマとしているので期待を持って読んだのだが、見事に裏切られた。眠っている人間の人権問題をはじめとして、睡眠学習、記憶の操作など、現実にはあり得ないことがたくさん出てくる。現実味が感じられない。極めつけは、涼子のとった行動だ。いくら5年間眠っているアツシを見守り続け情が移ったとしても、あまりにも突飛すぎないだろうか。まったく共感できない。登場人物も、ほかの作品に登場する人たちがたくさん登場している。それは、リンクしているというより、使い回しているといった安易な感じだ。自己満足的で中途半端な印象の作品だった。

ゆこりん : 19:56 | 作者別・・かいどうたける