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2012年5月11日

ナミヤ雑貨店の奇跡(東野圭吾)


今はもう空き家になってしまった店・・・。そんな「ナミヤ雑貨店」に侵入した幸平、翔太、敦也。そこへシャッターの郵便口から手紙が投入された。差出人は若い女性で、手紙には相談事が切々と書かれていた。どうやら、以前は店の主があらゆる悩みの相談にのっていたらしい。幸平たちは、主の代わりにその悩みの相談にのることにしたのだが・・・。短編5編を収録。連作集。

シャッターの郵便口から相談の手紙が投入される。そして、返事は牛乳箱に入れられる。幸平たち3人は、雑貨店の主の代わりに相談者に返事を書く。やがて、彼らは奇妙なことに気づき始めた・・・。
他に相談できる人がいない、さまざまな悩みを抱えた人たち。彼らはナミヤ雑貨店に手紙を投入する。やがて、時を超え、この作品に登場する人たちがつながっていく。あふれる人への想い。大切なものは何か?人はどう生きるべきか?不思議な空間の中で、さまざまな人間模様が紡ぎ出されていく。その過程は、さすが東野圭吾さん!ピタリと収まるべきところに収まっていく。ナミヤ雑貨店と丸光園の関係の描き方もとてもよかった。また、雑貨店の主であった浪屋雄治の人生も、感慨深いものがあった。ラストは、余韻が残るすばらしいものだった。とても感動的な作品だと思う。

ゆこりん : 17:06 | 作者別・・ひがしのけいご