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2012年3月 7日

カササギたちの四季(道尾秀介)


友人である華沙々木(かささぎ)に誘われて、「リサイクルショップ・カササギ」で日暮は働き始めた。ある日、客から買った鳥の形をしたブロンズ像が放火されるという事件が起きる。ほかに被害はまったくなし!犯人はいったいどんな目的で犯行に及んだのか・・・。意外な真実が待っていた。「鵲の橋」を含む4編を収録。

ほかの人から見れば他愛のないことでも、関わりを持つ人にとっては重大事・・・ということもある。そういう日常のほんのささいな、事件と言えるかどうか分からないようなできごとを、華沙々木と日暮は解決していく。軽いタッチで描かれたこの作品は、サクサクと読み進めることができる。登場人物も個性的で面白い。男ふたりのリサイクルショップ屋に出入りする菜美という中学生の女の子も、いろいろ事情を抱えているとはいえ、なかなか愉快なキャラだと思う。
事件解決に並々ならぬ意気込みでのぞむ華沙々木。それを陰で支えなければならない日暮の、想像や常識を超える苦労。「ここまでするか!」と思わず突っ込みを入れたくなってしまう。少々展開に無理があると思うところもあったが、細かいところを抜きにすれば楽しめる作品だと思う。読後感も悪くなかった。

ゆこりん : 16:17 | 作者別・・み他