« エデン(近藤史恵) | メイン | 人生という名の手紙(ダニエル・ゴットリーブ) »

2012年2月13日

それでも彼女は歩き続ける(大島真寿美)


柚木真喜子。彼女は有名な映画監督になり、そして海外の映画祭で賞をとった。かつて彼女に関わった6人の女性たちの視点で語られる「柚木真喜子」。彼女はいったいどんな人生を歩んできたのか?7編を収録。

この作品は、6人の女性から見た「柚木真喜子」を描いている。それぞれ関わり方がかなり違う。違うからこそ、「柚木真喜子」というひとりの女性の姿が立体的に、そして鮮やかに浮かび上がってくるはずなのだが、読んでも読んでも彼女の姿が浮かんでこなかった。6人の歩んできた人生の悲哀ばかりが表に出ているような気がする。浮かんでこないので、「柚木真喜子」に感情移入できない。つかみどころのない曖昧な存在になってしまっている。それがすごくもどかしかった。描き足りないのではないか?深さがない。感動を呼ぶはずの最終章「リフレクション」もいまいちだと思う。面白さを感じないまま読み終わってしまった。満たされない想いばかりが残る作品だった。

ゆこりん : 16:52 | 作者別・・お他