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2012年2月 8日

エデン(近藤史恵)


今回の舞台は「ツール・ド・フランス」。男たちの熱い闘いが始まろうとしている。だが、白石誓の所属するチームが存続の危機に!監督からの理不尽な要求に、誓やチームメイトの心は揺れる。そんな中ある悲劇が起こった・・・。「サクリファイス」の続編。

「サクリファイス」の続編といっても、この作品を単独で読んでもまったく差し支えない内容になっている。
それぞれの事情や思惑を抱えながら男たちは疾走する。スポーツは純粋でなければならないのに、そこに見え隠れするのはねたみや疑惑や不信感だ。さまざまな困難を乗り越えて、勝利を手にするのはいったい誰か?
「サクリファイス」やこの作品で、自転車ロードレースの魅力知った。本当に奥が深いと思った。作者の、ロードレースの描写は圧巻だ。選手たちの熱い闘いが、まるで目の前で繰り広げられているかのように感じられた。手に汗握る勝負の世界に、自分も完全に引きずり込まれてしまった。ラストも衝撃的だった。勝つことへの執念が自身を滅ぼすことになろうとは・・・。死ぬか生きるか、食うか食われるかの、本当に厳しい世界だと思う。
スピーディーな展開で、読み始めからぐいぐい引き込まれる、本当に面白い作品だった。

ゆこりん : 16:27 | 作者別・・こんどうふみえ