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2011年12月19日

医学のたまご(海堂尊)


潜在能力テストで全国1位!中学1年生の曾根崎薫は、東城大学医学部特別プロジェクトに参加することになった。マスコミのインタビュー、医学書10冊読破、英語の論文・・・薫に次々と試練が襲いかかる。そんな中、薫が医学的大発見???医学部の中に衝撃が走るのだが・・・。

「潜在能力テストで全国1位になったからといって、いきなり医学生とは少し設定に無理があるのではないか?」と思いながら読み進めたが、作者は無難に話を展開させている。学力の不足分を補うためにさまざまな知恵を絞り、数々の試練の波を必死に乗り切ろうとする薫。その姿は健気だ。だが彼はしだいに大人たちの醜い陰謀の渦に巻き込まれていく。薫を利用しようとする大人たちには、憤りを感じる。負けるな薫!悪をそのままにしてはいけない!アメリカにいる父の応援を受け、薫は敢然と立ち向かう。その描写は痛快だ。
中高生向けに書いたとのことだが、それ以外の人が読んでも楽しめる。作者のほかの作品と微妙にリンクしているところも面白かった。読後感もまあまあだった。

ゆこりん : 21:10 | 作者別・・かいどうたける