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2011年9月20日

幸福な生活(百田尚樹)


「娘の蓉子が恋人を初めて我が家につれてくる!」
妻の孝子と一緒に待つ間、なぜか男は、蓉子の幼稚園のときの運動会を思い出す。いつかこんな日が来るだろうと思っていた頃のことを。幸せに満ちた生活だが、ラスト1行に衝撃が!表題作「幸福な生活」を含む18編を収録。

「ラスト1行に驚きの真実が隠されている。」どの話も、そういう構成になっている。特に印象に残ったのは、「母の記憶」「豹変」「そっくりさん」だ。ネタバレになってしまうので詳しい感想は書けないが、静かに穏やかに流れている日常が最後の1行でものの見事にひっくり返ってしまうという、その落差が面白いと思った。読んでいるとき、星新一さんのショートショートを思い出したけれど、星新一さんの作品よりはインパクトが弱い気がした。また、途中で結末が想像できてしまう話や、ラストに意外性を感じない話もあったので、多少の物足りなさも残る。全体としては、まあまあ楽しめる作品だと思う。

ゆこりん : 22:25 | 作者別・・ひゃくたなおき