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2011年9月13日

やなりいなり(畠中恵)


なかなかおさまらない若だんなの咳。守狐が、特製の「やなり稲荷」を持って見舞いにやってきた。ところが!幽霊が現れて稲荷寿司を掴もうとする。若だんなに護符を貼られ、実体化されてつかまった幽霊の正体は・・・?表題作「やなりいなり」を含む5編を収録。「しゃばけシリーズ」第10弾。

まずは、作者の畠中恵さんに「しゃばけシリーズ、10周年おめでとう!」と言いたい。最初に「しゃばけ」を読んだとき、「なんてユニークで面白いのだろう。」と思った。だから、シリーズ化されると分かったときには、とてもうれしかった。毎回新作が出るたびにせっせと読んできた。
今回10作目のこの作品は、料理のレシピというおまけがついている。そのレシピの描き方がしゃばけ風で愉快だ。
5編の話もそれぞれ、なかなかいい味を出している。表題作のほかに、恋しい、愛しいという気持ちが蔓延し、ある界隈が混乱をきたす話「こいしくて」、一太郎の父藤兵衛が行方不明になる話「からかみなり」、変わった卵が騒動を起こす話「長崎屋のたまご」、一太郎の親友栄吉が働く安野屋の菓子を買い占める新六と、その友五一の哀しい友情を描いた話「あましょう」が収められている。ほのぼのとした温かみのある話からきゅんと切ない話までさまざまだが、どの話も読み手の期待を裏切ることはない。読後は満足感が味わえる。これからもずっと、しゃばけシリーズが続きますように♪

ゆこりん : 19:17 | 作者別・・はたけなかめぐみ