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2011年9月 5日

ファントム・ピークス(北林一光)


長野県安曇野。半年前に忽然と姿を消した妻の頭蓋骨が見つかった。三井は、見つかった場所に疑問を抱く。「そんな所に行くはずがない。」いったい妻の身に何が起こったのか?しばらくして、今度は女子大生が行方不明に!さらには母娘も!山に潜むものの正体は?

三井の妻杳子が襲われるという衝撃的な描写から物語は始まる。正体不明の何かが山の中でうごめいている。そして、次々に犠牲者が!いつどこで襲われるかわからないという恐怖が、読んでいて伝わってくる。そこにいるはずのないもの・・・。正体が分かってからも、その真相を探る過程は面白い。展開に少々もたつきは感じられたが、それでも読み始めたら止まらなかった。妻の敵を討ちたいという三井の悲壮な決意も胸を打つ。ラストも圧巻。微妙に余韻も残る。何十年も前だが、北海道ではこのような話が実際にあった。なので、読んでいて胸にズシッとくるものがあった。楽しめる1冊だと思う。

ゆこりん : 20:21 | 作者別・・き他