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2011年6月29日

真夏の方程式(東野圭吾)


両親の仕事の都合で、旅館を経営している伯父伯母のもとで夏休みを過ごすことになった恭平。その宿には、物理学者の湯川も滞在していた。ある朝、もうひとりの宿泊客が死体で発見された。事故死か他殺か?彼は何のためにこの町にやってきたのか?最後に湯川が気づいた真実とは?

ひとりの男の死。なぜ彼はこの町にやってきたのか?なぜ彼は死ななければならなかったのか?この作品は、ほかの作品のように科学的解明はそれほど期待できない。どちらかというと、さまざまな人たちが絡み合う人間関係の描写のほうに重点が置かれている。特に、小学5年生の恭平と湯川のふれあいには惹きつけられるものがあった。恭平の人生も、いいことばかりではないだろう。人生に絶望を感じることがあるかもしれない。そんなときは、湯川の言葉を思い出してほしい。湯川の言葉は、未来へ希望をつなぐ鍵になるだろう。
過去と現在のできごと、さまざまな登場人物たちの織り成す人間模様、それらがうまく融合して心地よい作品に仕上がっている。ラストも余韻が残る。味のある面白い作品だと思う。

ゆこりん : 20:09 | 作者別・・ひがしのけいご