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2011年6月17日

オレたちバブル入行組(池井戸潤)


夢と希望に満ちて入行したはずだった・・・。大阪西支店の融資課長の半沢は、入行以来の最大の危機に直面する。5億円の融資を行った会社が倒産したのだが、支店長の浅野は全責任を半沢ひとりに押しつけようとしたのだ。「泣き寝入りしてたまるか!」半沢の反撃が始まった。はたして、彼に勝ち目はあるのか!?

組織が大きくなればなるほど、客や利用者のことを考えず、おのれのプライドや地位を守るためなりふりかまわず行動する人間が現れる。責任をほかのものになすりつけ平気な顔をする。立場が危うくなれば陰謀をめぐらす。この作品の中に出てくる支店長の浅野もそういうタイプだ。部下ひとりをつぶすことなど何とも思わない。半沢は戦う。徹底的に戦う。銀行という巨大な組織の中に巣くう魑魅魍魎たちと。職場は戦場、そしてそこで働くものたちは戦士だ。半沢は勝利できるのか?まさに、手に汗握る展開だった。しだいに浅野が追い詰められていく描写は快感!「あきらめずに、おのれの信念を持って果敢に行動すれば道は開ける。」そういう思いを存分に味わった。爽快感が残る、面白い作品だった。

ゆこりん : 19:51 | 作者別・・いけいどじゅん