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2011年6月 1日

スリーピング・マーダー(アガサ・クリスティー)


三ヶ月前に結婚したばかりのグエンダは、夫と二人で住むための家を探していた。「これが私の家だ!」見ないうちから確信に近い胸騒ぎを覚えた家があった。家の中を見せてもらっているうちに、グエンダは不思議な感覚に陥る。既視感を抱いたこの家とグエンダとの間には、意外なつながりがあった・・・。

グエンダはなぜその家に既視感を抱くのか?彼女の幼いころの記憶が重要な鍵となってくる。記憶の糸をたどり、当時その家に関わっていた人たちと接触していく。ひとつひとつ手がかりを積み重ね、記憶に隠された殺人事件の真相に迫るグエンダと夫のジャイルズ。そして二人を手助けするミス・マープル。だが、過去が暴かれるのを嫌う人間もいた・・・。
それほど凝ったトリックもなく、犯人にも意外性はない。けれど、何気ない描写の中に巧みにちりばめられた犯人への手がかり、そしてミス・マープルの鋭い観察眼と洞察力、それらがこの作品をとても面白いものにしている。一枚一枚ベールを剥ぐように真実に迫っていく様子は、緊張感があり読み応えがあった。とても魅力のある、面白い作品だと思う。

ゆこりん : 19:25 | 作者別・・あ他