« ダイイング・アイ(東野圭吾) | メイン | ばんば憑き(宮部みゆき) »

2011年4月25日

死化粧(渡辺淳一)


母の死は避けられないものだった。だが、自分以外の家族全てが母の回復を信じている。自分と他の家族たちとの心の隔たりを感じながら母の命の終わりを見つめたとき、胸に去来したものは・・・。表題作「死化粧」を含む5編を収録。

渡辺淳一の描く医学的ヒューマンドラマが昔から好きだった。けれど、この作品に収められている5編どれもが、読んでいて何とも言えないいやな気持ちになってくるような話だった。人それぞれにいろいろな人生がある。そして、人それぞれにいろいろな人生の終わり方がある。それを充分わかっていても、読んでいて受け入れられない部分が出てくる。「こんな描き方をしなくても・・・。」何度もそう思った。特に「少女の死ぬ時」の話には、不快感さえ感じた。後味の悪さだけが残る作品だった。

ゆこりん : 16:34 | 作者別・・わ